
ISO14001に準拠した環境ビジネス(2)
| 「ISO14001に準拠した環境ビジネス」と題して、事業活動における環境マネジメントシステムの活用について、前回は総体的な考え方を述べました。今回は“ISO14001を企業の合理化や活性化にどう役立てるか”について、実際の企業が取り組まれている活用例をご紹介していきたいと思います。 最初は中小建設系企業が異業種企業とネットワークを構築し、合理化・コストダウン効果を得た事例です。 |
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ここでご紹介するセリザワ建設株式会社は静岡県裾野市にある中小建設業で、昭和9年芹澤土木として創業、古くから地元公共工事を中心に地場建設業界の礎を築いてきました。 平成8年、当時専務であった芹澤将彦社長は、公共投資の減少と建設業者数の増加に危機感を感じ、これまでの土木工事のみを中心とした業態からの脱却を目指し、来るべき公共下水道の普及を視野に入れて「環境メンテナンス部」を創設しました。そして、下水道管路や排水路の清掃、調査、補修などのメンテナンス業務を主業務と設定し、今日では、公共下水道の普及率の向上などから、静岡県東部全般に至る広範囲において下水道管の高圧洗浄、吸引などの清掃業務を主体に活躍しています。 同社のISO14001認証取得は平成14年、ちょうど3年前にさかのぼります。 認証取得のきっかけとしては、環境メンテナンス部を保有している関係上、“環境マネジメントシステムは、将来、顧客や利害関係者より必要とされるものであり、環境に関する新しいビジネスにも結びつく”と考えていたこと、また、既にISO9001を取得していたこともあり、“ISO9001の2000年版の改訂と同時にISO14001を取得し、品質・環境を共有するマネジメントシステムを構築したい”など、外部への戦略面と内部の効率面を考慮し、導入に踏み切りました。 導入に際しては、自社の環境に影響を及ぼす活動(以下著しい環境側面という)を的確に捉えるため、初期環境調査を実施し、活動の流れ、また、それらに伴う材料やエネルギーの物質収支を把握、管理項目の絞り込みを行いました。(表:環境側面抽出シート 参照) |
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| しかし、この結果、セリザワ建設のISO14001最重要ポイントとなる環境メンテナンス部に重大な問題が発生したのです。 環境メンテナンス部の主要業務である高圧洗浄車による管路の清掃業務は “大量の市水の使用により、資源枯渇につながる”という問題に直面したのです。 通常、生産業務をはじめとする事業活動では、著しい環境側面における材料やエネルギーの使用は、その活動の結果として生み出される“製品”に反映されるため、ロス低減などによる改善策を講じることができます。しかし、清掃業務では目に見える“成果物”がないため、歩留まりなどに寄与する対策はとれません。 さらに、下水道管路清掃は“公共事業”であるため、“設計規格”、いわゆる使用する資材の“物質”や“量”などの作業の方法にも決まりがあり、“結果さえ得られれば良い”わけではなく、作業工程も決められたとおりに実施する必要があります。従って、自社で作業プロセスを簡略化・改善することはできないのです。 作業方法に改善ができない以上、残るは資材を“代替品”に変更するしかありませんが、これも規格で“下水道管路清掃には生物学的酸素要求量(BOD)10ppm以下の水を使用する”ことが示されており、河川の水などを利用することはできないというのです。 「この環境側面は改善が困難なので“必要以上に市水を使わないように管理する”こと」と、“一般的な管理方法”に考えが落ち着きかけてきたとき、環境メンテナンス部長の芹澤豊彦専務より「よく排水処理場などで処理した水でコイを泳がせているのを見かけるが、あの水は洗浄に使えないだろうか?」という提案が出されました。 “排水処理水”に着目した環境メンテナンス部は、“処理水を使用した下水道管路清掃”を可能にするべく、早速、排水処理を実施している大手メーカーに工場排水を譲ってもらえないかと依頼したところ、二つ返事でOKがもらえたのです。 これには環境メンテナンス部のメンバーも意外でした。「工場排水とはいえ、なかなか大手のメーカーが譲ってくれるのは難しいのではないか?」という懸念があったからです。 しかし、芹澤将彦社長は決して意外とは思っていませんでした。排水を譲ってもらえた企業はISO14001取得企業であったからです。芹澤社長は、「ISO14001取得企業なら環境管理活動を実践しているため、廃棄より分別、リサイクル、リユース、特にリユース(再利用)を推進してもらえるはず」と考えていたのです。 メーカーの方でも「大量に出る処理水を利用してくれるところはないか探していた」そうで、まさにここに“企業間ゼロ・エミッション”が形成されたのです。 譲り受けた排水はISO14001取得企業であるため、当然法規制の遵守にあたっても適切な管理がなされており、水質の計量証明値も十分に基準をクリアしていました。 今や、排水を分けてくれる企業も増え、セリザワ建設で行われている下水道管路・排水路清掃の年間水使用量の四分の一は工場排水が占めるようになっています。 |
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現在、環境メンテナンス部では、もう一つの課題である自動車排ガス低減に取り組んでいます。 静岡県東部全般にわたる作業現場近くに“排水の供給先”を持たせてもらうことで、高圧洗浄車の給水の距離を短縮し、作業量(生産性)向上と軽油使用量を削減することが真の狙いです。(表:品質・環境マネジメントプログラム/報告書 参照) その他にも“洗浄水リユースによる業務の環境負荷低減提案”や“各種ネットワークからの環境ニーズ調査”など、ISO9001も連携させたプログラムは環境負荷低減のみならず、生産性向上からマーケティングまで多岐にわたっています。 |
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| セリザワ建設株式会社 代表取締役 芹澤将彦 〒410-1102 静岡県裾野市深良2373-1 TEL:055-992-3181 FAX:055-992-3182 http://www.serizawakensetsu.com/index.html |
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| 芹澤社長は、「ISO14001に取り組み、受託系企業がメーカー思考に意識が変わってきた」と振り返っています。 「制約された条件下でも視点を広げることで改善は必ずできることを知った」、 「小さなことでも輪が広がれば環境負荷の低減に貢献できる」 と今後の展開にも前向きな姿勢を示しています。 |
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植野 和男 JAS-ANZ認定ISO9001/ISO14001審査登録機関 インターナショナル・スタンダード・サーティフィケーション・ジャパン 審査部長 |