
−強い企業に生まれ変わるためには“捨てなさい”。
捨てなければ、何も変わらない。−
| ISCジャパン審査員 棚田譲二 (5S推進担当) |
| 急速な情報のオープン化と市場のグローバル化の進展に伴い、過去の経験が必ずしも有効とは限らない21世紀になって早や5年。中小企業経営者の皆さまは経営のむずかしさに直面しておられるのではないでしょうか。この経営の舵取りがむずかしい時代に強い企業として生き残る有効な手法として、私は中小企業の経営者の皆さまに「ISOを活用した5S経営」を提言したいと思っております。以下にその理由を述べますので、ご一読頂ければ光栄に存じます。 |
| まず、5S経営のポイントをまとめますと、次のようになります。 |
| 「ISOを活用した5S経営」のポイント | ■“捨てる事”で自らの企業変革に着手すべし。この実践なくして会社は変わらない。 ■5S(ゴエス)を基盤とする企業風土・文化の構築に腐心すべし。 ■強い企業として生き残るためにはISOの活用が必須かつ唯一有効な手法である。 |
以下、ポイントを順次説明します。 |
| ■“捨てる事”で自らの企業変革に着手すべし。この実践なくして会社は変わらない。 |
1 「自社の強み」は何かを見直すとき |
|||
|
|||
2 変革は“捨てる”事から始まる |
|||
|
|||
3 捨てる事を決断する |
|||
| これらの不要なものを捨てると空間(場所)が生まれます。すると、この空間を埋めたくなります。新しいものが生まれるのです。この新たなもので埋めようとする発想こそ、これからの企業が必要とする「新しいアイデア」であり「積極性」「組織力」「企業力」なのです。当然ですが、新しい発想のためには、新たな情報・経験に裏打ちされた知恵・技術が必要です。新たな行動力が出てきます。 決断してください。「捨てる」決断が必要なのです。「将来、困ることにならないか」「どこに捨てればいいのだ」「再調達できるのか」などなど、さまざまな思いが駆けめぐるでしょう。だが、これらは迷いであり、決断は勇気であり、知恵なのです。 捨てなければ何も変わりません。捨てれば、新たな情報が入手でき、新しい発想が生まれ、新しいチャレンジ精神も湧いてくるのです。 貴社はどちらを選びますか? |
| ■5S(ゴエス)を基盤とする企業風土・文化の構築に腐心すべし。 |
1 「強い企業」とはどのような企業か? |
||
| 「強い企業」とはどのような企業なのでしょうか。金のある企業、従業員の忠誠心の強い企業。たしかにそれらも強い企業です。しかし、現代では企業を評価するのは企業を取り囲む人々、つまり消費者を代表とするその企業の利害関係者、ステークホルダーと呼ばれる人々です。ステークホルダーは、その企業が「どれだけの社会的責任(CSR:Corporate
Social Responsibility)を果たしているか」という尺度で評価します。 では、社会的責任を果たす企業とは、どのような企業なのでしょうか。当然のことながら社会の要求する製品・サービスを提供することができ、法律やルールを守り、誰からも信頼される企業であるということです。まさに「当たり前のことをキチンと実践できる」企業が求められているのです。中小企業とて例外ではありません。 しかし、経営者にはよくわかっていることですが、全社員が「当たり前のことをキチンと実践できる」ようになることは容易なことではありません。これは企業規模の大小に関わりません。毎日のようにニュースで話題になる不祥事の発生がこれを実証しています。いかに急成長を遂げた成功企業でも、法律の不順守・個人情報の漏洩・異物の混入・顧客対応の不適切などなどが原因で、社会的に廃業状態に追い込まれた企業が数多くある事実は、企業基盤として何が本当に大切かを物語っています。「強い企業」とは、「当たり前のことをキチンと実践できる」企業なのです。 では、どうすれば「当たり前のことをキチンと実践できる」企業基盤が作れるのでしょうか。何もむずかしい理論は必要ありません。整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5S(ゴエス)が社内風土・文化として定着できればいいのです。 |
||
| 2 5Sは純日本産の企業力強化ツール |
||
|
| 5S | 定 義 |
|---|---|
| 整理(Seiri) | 要るものと要らないものを区別し、要らないものを捨てること。 |
| 整頓(Seiton) | 要るものを所定の場所に置き、誰にでもすぐに取り出せること。 |
| 清掃(Seiso) | 身の回りや職場を常に掃除し、使用前の状態にすること。 |
| 清潔(Seiketsu) | いつ誰が見ても誰が使っても不快感を与えぬように整理・整頓・清掃の3Sを維持すること。 |
| 躾(Sitsuke) | 決められたルールを守るように習慣づけること。 |
・整理とは”捨てる事“そのものであり、整理によって社内の変革を進めるものです。 ・整頓とは、無駄のない速やかな仕事ができる環境を作ることです。 ・清掃とは身の回りの“点検”をすることで、不具合な箇所を発見することです。 ・清潔とは、以上の整理⇒整頓⇒清掃がキチンと実施できるようにルール化(=標準化)することです。 ・ しつけ(躾)とは、決められたルールをキチンと守って効率的で創造的な仕事ができるシステムが整っていることを確認し、問題があれば是正することです。 経営の基本はPDCA(Plan=計画,Do=実行,Check=チェック,Act=アクト)のマネジメントサイクルを正しく回すことですが、5SそのものがPDCAのマネジメントサイクルに従ったマネジメントシステムなのです。 |
| ■強い企業として生き残るためにはISOの活用が必須かつ唯一有効な手法である。 |
| 1 5Sを補強するもの |
||||
|
||||
2 「強い企業」への変革のカギはISOにあり |
||||
| ISO(International Organization for Standardization)は国際的に認められた制度です。そして、ISOは5Sに対する“甘え”を断ち切る道具として最適なのです。品質マネジメントシステムISO9001なり環境マネジメントシステムISO14001の認証取得をすると、年2回の査察が行われます。このとき、5Sで培ったマネジメントシステムの必要なところだけをISOの要求に合わせておけば、査察のときにチェックが入ります。しかも、そのチェックは国際的な機関の客観的な第三者によるチェックなのです。5Sを社内風土・文化として定着させるには、ISOのシステムを活用することが最良の戦略なのです。 これはまた、5Sの中の「躾(しつけ)」をしていることでもあります。企業の作り出す製品・サービスに合わせてISOのマネジメントシステムは構築されますが、その実行における確実性を保証するものは、ISOの査察(サーベランス)というシステムなのです。いかに“甘え”好きでも、ISOのマネジメントシステムの査察があることを意識すれば、必ず5Sが徹底・継続され、5Sが徹底・継続されれば、いつの間にか「当たり前のことをキチンと実践できる」「強い企業」に生まれ変われるのです。 以上、私のこれまでの経験から得られた提言をぜひご理解いただき、貴社の企業力強化のために5S及びISOが有効に役立つならば、たいへんうれしく存じます。 |
||||
| (平成17年6月) |